株式譲渡と事業譲渡のメリット・デメリット 【株式譲渡編】

M&A手法の中でも広く活用されているのが株式譲渡と事業譲渡です。

どのような選択基準で、どちらの方法を選べばよいのか。

前回の投稿では、「事業譲渡」を選択する際のメリット・デメリットをお伝えしました。

今回は、「株式譲渡」を選択する際のメリット・デメリットをお伝えします。



【譲渡側のメリット・デメリット】


▼メリット


・手続きがシンプル

株式譲渡は、契約書の作成手続きのみで完結できます。

事業譲渡の場合は、引き継ぐものを細かく特定する必要があり、従業員や取引先、金融機関などと新しく契約を結び直す必要があります。また、元の会社が持っていた許認可があれば、行政機関などで許認可手続きを再度取り直す必要が出てきます。

しかし、株式譲渡は、譲渡される資産や債務を特定したり、様々な関係者と契約書を交わし直したりする必要はないので、スピーディーに売却まで進めることができます。


・手元に残る利益が多くなる可能性が高い

株主が個人の場合、株式譲渡では基本的に20%の所得税のみが課されます。譲渡代金の約80%が譲渡側オーナーの手元に残るため、創業者利益の最大化がしやすく、事業譲渡よりも税引き後に残る利益が多い可能性が高いです。


▼デメリット


・売却会社の負債が大きいと買い手がつかない

株式譲渡は負債も財産の一部として買い手に引き継いでもらうことができますがその負債があまりにも大きすぎる場合は、買い手がつきにくくなる場合があります。事業譲渡は、特定の事業のみ切り出すことのできるので、そういった場合は事業譲渡に切り替えることも検討すべきでしょう。



【譲受側のメリット・デメリット】


▼メリット


・手続きがシンプルなのでスムーズに営業を始めることができる

譲渡側のメリットでも記載したように、手続きがシンプルであることは譲受側にとっても大きなメリットです。

事業譲渡の場合、買い手が許認可申請などの再申請を必要とする場合があります。しかし、株式譲渡にはそれがありませんので、許認可申請を事前にする必要がなく、株式譲渡後スムーズに営業を開始できます。


・支配権を100%取得することが可能

譲受側は、株式の過半数(50.1%以上)を取得すれば、支配権を確保できます。そして、譲受側が売却企業の株式を100%取得した場合は、会社の支配権を全て取得できるのです。事業の一部譲渡の場合は、特定の事業だけを買収するため、会社全体の支配権を取得できません。


▼デメリット


・負債や問題点も引き継いでしまう

株式譲渡は会社全体を全て買い手が引き継ぐ取引なので、負債や問題点も引き継ぐことになります。デューデリジェンスを徹底してもすべてのリスクを排除するのは難しく、不要な経営資源や、賠償義務、簿外債務、その他の問題点までも承継してしまう可能性があります。


・シナジー効果が出にくい場合がある

株式譲渡後、譲受側と譲渡側は親会社・子会社の関係になります。譲渡側は別会社として存続するので、企業文化の違いや、新しい経営陣との関係性によってはシナジー効果が出にくい場合があります。


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この様に、事業譲渡と株式譲渡ではメリット・デメリットに大きな違いがありますので、M&Aの際は自社の状況に適した手法を選択する必要があります。


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薬剤師 高岡 丈 -Jo Takaoka-

薬剤師として働く傍ら、薬剤師だからできる新時代の資産構築方法を教えています。 何事にも積極的に取り組み、どのような仕事にも100%の努力を注ぐことをお約束いたします。